聖書箇所-ヨハネの手紙一5:1~6 (平和聖日)
     
◇「1:イエスがメシアであると信じる人は皆、神から生まれた者です。そして、生んでくださった方を愛する人は皆、その方から生まれた者をも愛します」。聖書の中心的な掟である「敬神愛人」の教えである。

◇「3:神を愛するとは、神の掟を守ることです。神の掟は難しいものではありません」。難しくないと言いうる根拠は何か?「4:神から生まれた人は皆、世に打ち勝つからです」。敵とは人を愛せない不信感や憎しみ、自己中心など。信仰者はそれらに「打ち勝つ」のだと言う。

◇「5:だれが世に打ち勝つか。イエスが神の子であると信じる者ではありませんか」。キリストを信じる信仰によって、世に勝つのだ。

◇パリ・オリンピックが行われている。そこでの戦いは美しいものだ。また先週は東北地方で大雨の被害がひどく、被災された方たちは復興のために懸命な努力している。そしてオリンピックの最中でも、ウクライナとロシアの戦争や、イスラエルと周辺諸国との抗争は止まない。

◇スポーツの戦い、自然との戦い、そして殺戮や破壊を目的とする敵との戦い。いずれも「戦い」という言葉で括られるが、どこに違いがあるのか。スポーツや自然災害との戦いには相手への「憎しみ」がない。戦争は憎しみと暴力と復讐の連鎖だ。そこに大きな違いがある。

◇「暗闇を暗闇が消し去ることはできない。
  暗闇を消し去ることができるのは光だけである。
  憎しみが憎しみを消し去ることはできない。
  憎しみを消し去ることができるのは、愛だけである。」(M.L.キング牧師)。
「打ち勝つ」とは、愛が「憎しみを消し去る」という意味である。

◇主イエスは「6:水だけではなく、水と血とによって来られたのです」。讃美歌260「千歳の岩よ、わが身を囲め、裂かれし脇の血しおと水に…」。血液と内臓が流れ出て死んだ、ではなく「水と血とによって来られた」。「水と血」は出産のイメージでもある。出産と共に大量の羊水と血液が流れる。新しい命の誕生にも「6:水だけではなく、水と血」が流れる。

◇キリスト十字架で、人類の憎しみの象徴である「」を流し、しかし同時に新しい命の象徴である「」を流し、神はそれを新しい世界への出発とされた。これを信じる者が、「4:世に打ち勝つ」者とされるのだ。